当院の器具の滅菌について〜根管治療編〜
みなさん こんにちは。
今回のテーマは、当院の器具の滅菌についてです。
患者さんは、歯科医院の衛生や安全管理について、とても関心があるところだと思います。
歯内療法(根管治療や生活歯髄療法)で使う器具を例に、当院で行っている衛生管理の流れをお話しします。
ここで、用語の解説をしておきます。
滅菌とは、あらゆるウイルスや細菌を死滅させること、消毒は特定の細菌やウイルスを死滅させることです。ももこ歯科では、あらゆる器具を滅菌レベルで管理しています。
では、滅菌までの流れを図1に示します。
図1-①の器具は超音波チップです。主に、根の中の汚れをとる目的で使われます。超音波チップの表面はダイヤモンドでコーティングされており、よく削りカスが付いています。
そのまま超音波洗浄器に入れても、汚れがきれいに落ちるわけではないので、スポンジで削りカスを落としてから(図1-②)、超音波洗浄器へ入れて(図1-③)、汚れを落としていきます(図1-4)。
そのあと、ほぼ同時に使うものをまとめてパッキングし(図1-⑤)、オートクレーブという滅菌器(図1-⑥)に入れます。ここまでの所要時間は30分、オートクレーブでの滅菌は約30分、合計1時間くらいです。ももこ歯科のスタッフは、ていねいな器具管理をしてくれています。
器具はできる限りディスポーザブル化することが望ましいです。
なぜならば、器具の滅菌管理は、歯内療法の基本コンセプトである無菌的処置の、細菌を歯の中に入れさせない処置にあたるからです。
しかし、現実的にはコスト面の問題が浮上するため、すべての器具をディスポーザブル化することは、なかなか難しいです。
ここでいうコストとは、器具を購入する時に発生するコストはもちろん、スタッフの労力も含まれます。
当院で行っている器具管理についてお話しします。
1. ファイル類は使用回数を決めて破棄する
使用回数を決めることは、無菌的処置をきちんと行う意味もありますが、ファイルの破折予防にもつながります。
たとえばニッケルチタンファイルの場合、図2のように、ツメが8枚ついており、1回使うごとに1枚ずつ切ります。当院ではツメを3枚切ったら、次のファイルに交換しています。
2. 同じタイミングで使うものは、まとめてパッキングする
まとめてパッキングする理由は、前述したコストのうち、スタッフの労力に対するコスト対策です。
図3左は、ラバーダムセット、右は超音波チップやファイルセットです。右は、機械的拡大で使うものを一緒にパッキングしています。
個々にパッキングすると準備に時間を要し、スタッフの負担が増えますから、まとめてパッキングしています。
3. 器具はいつも同じ位置に戻す
いつも同じ動作ができるように、当院では、根管治療に限らず、物をいつも同じ場所に戻しています。
洗い場に、図4のようにどこに何を戻すか、スタッフが作ってくれたマニュアルのおかげで、図5,6のように、スタッフがファイル類を同じ並べ方で補充してくれています。
スタッフは覚えるまでが大変です。
それでも、嫌な顔一つせず、一生懸命にきちっと仕事をこなしてくれるスタッフに、いつも感謝しています。
次のお話しは、根管治療で使う薬剤の危険性と予防策についてです。お楽しみに。